Google広告自動入札概要

WEB広告イメージ
  • Google広告の入札価格の調整が正しく行えているか心配
  • 広告運用の工数を減らし、サイト改善などクリエイティブな分野に時間を割きたい
  • 入札価格の調整をがんばっているけど、なかなか目標の獲得単価に合わない

このようなお悩みをお持ちの方には、Google広告の「自動入札機能」がお勧めです。

今回の記事では、Google広告の自動入札機能の種類や特徴・設定方法・活用のコツなどをご紹介いたします。

Google広告の自動入札機能とは?

Google広告の自動入札機能

Google広告の自動入札機能とは、入札価格を自動で調整してくれる機能のことです。

Google広告は、「広告1クリックあたり〇円まで払いますよ」という上限のクリック単価を自分で設定することができ、上限クリック単価が高いほど上位に掲載されやすくなるオークション制を採用しています。

この上限のクリック単価を「入札価格」といいます。

リスティング広告の場合、効果が良いキーワードに対しては高めの入札価格を設定して上位掲載を目指し、効果が悪いキーワードに対しては低めの入札価格を設定することで、広告の費用対効果を高めることができます。

(ディスプレイ広告の場合は、広告グループと呼ばれる単位で入札価格を設定できます。)

この入札価格の調整を人間が手動で行う形ではなくGoogleのAIが自動で行ってくれる機能が「自動入札機能」です。

Google広告の自動入札機能のメリット

入札の運用工数を削減でき、サイト改善などクリエイティブな分野に時間を割くことができる

例えば、「このキーワードは80円、このキーワードは50円」といった形で1つ1つ入札価格を設定するとなると、作業工数が多くなりとても大変ですよね。

自動入札機能を導入することで、手動で細かく設定していた入札価格の調整の工数を削減することができます。

後ほど詳しくご説明しますが、自動入札機能は6種類あり、配信している広告の目標に合わせて機能を選択するだけで、入札価格の調整に関する作業は完了します。

あとは、選択した目標に合わせてGoogleの自動入札機能が自動で入札価格の調整をしてくれます。

入札価格の調整の工数が減る分、サイト改善や広告クリエイティブ作成、配信結果の分析など、人にしかできないクリエイティブな分野に時間を割くことができ、PDCAを速く回すことができます。

手動で入札調整する場合より高い効果が期待できる

手動での入札調整は人間が行う作業であるため、適切な入札価格を設定できていない場合もあります。

しかし、自動入札機能を利用した場合、Google広告のAIが、広告主の予算・目標に合わせて効果の良い入札価格を広告毎に自動で分析し設定してくれます。

AIなので「絶対に自動入札機能の方が良い」とまでは断定できませんが、Googleの自動入札機能の精度は日々向上しており、筆者の場合は自動入札機能を導入した方が効果の良いことが多いと感じています。

ユーザーのデバイスや地域・時間帯といった要素を元に、個々のオークション単位で入札価格を調整してくれる

キーワードや広告毎の効果の高さはもちろん、過去に効果の良かったデバイスや地域や時間帯などといった細かい要素まで学習し、その情報を元に入札価格を調整してくれます。

手動入札調整の場合でも、デバイスや地域・時間帯によって入札価格を上下させる設定は可能ですが、人間が配信結果のデータを元に仮説を立てて設定をするので、その仮説が外れたら逆効果になってしまうかもしれません。

また、キーワード毎ではなくキャンペーンや広告グループ全体に対してしか適用できません。

しかし自動入札機能の場合、個々のオークション毎にユーザーのデバイスや地域・時間帯・ブラウザといった要素から細かく入札調整をしてくれるため、とても精度が高いのです。

手動入札調整よりもさらに細かい要素まで分析して入札調整してくれる

自動入札機能はさらにOSや言語・興味関心といった要素まで分析して入札調整をしてくれます。

これらの要素は、手動で設定することができません。

例えば「スピーカー bluetooth」というキーワードを手動で100円の入札価格に設定したとして、夜は入札価格が20%上がるように設定しているとします。

その場合お昼は100円・夜は120円の入札価格になります。

また、上位表示させるために必要な入札価格は120円だとします。

お昼に「スピーカー bluetooth」と検索したユーザーが2人いたとして、1人の趣味は「音楽鑑賞」、もう1人の趣味が「野球」だとします。

手動入札調整だとどちらのユーザーからの検索でも入札価格が100円になるため、コンバージョンに繋がりそうな「音楽鑑賞」が趣味のユーザーに対して広告が表示されず機会損失になってしまう可能性があります。

自動入札機能の場合は個々のユーザーの状況に合わせて細かく入札調整してくれるため、コンバージョンに繋がりそうな「音楽鑑賞」が趣味のユーザーに対して入札価格を引き上げてくれます。

このように、手動での入札では調整できない範囲まで入札調整してくれるため、高い効果が期待できるのです。

部分一致や絞り込み部分一致といった拡張性が高いマッチタイプでも、それぞれの検索語句に適切なクリック単価を学習してくれる

これはどういうことかと言いますと、例えば「ホームページ制作 代行」というキーワードを部分一致で登録し、実際の検索語句は下記のようなものが多いとします。

Webサイト制作 代行
ホームページ 制作
ホームページ 運用代行

手動でキーワードの入札価格を200円に設定した場合、先程挙げた検索語句それぞれの入札価格はすべて200円になります。

Webサイト制作 代行・・・200円
ホームページ 制作・・・200円
ホームページ 運用代行・・・200円

自動入札機能の場合、検索語句毎にそれぞれ適切なクリック単価を学習し、入札価格を調整してくれます。

Webサイト制作 代行・・・300円
ホームページ 制作・・・250円
ホームページ 運用代行・・・50円

Google広告の自動入札機能のデメリット

とても便利な自動入札機能ですが、デメリットもあります。

データが溜まっていないと思った通りの運用をしてくれない

自動入札機能は、AIが過去のデータに基づき適切な入札価格を調整してくれる機能であるため、きちんと効果を発揮するためにはデータが必要です。

データが溜まるまでは一時的にCPA(獲得単価)などが悪化してしまうことも多いです。

学習期間が2~3週間ほどかかる

広告予算や配信しているキーワードボリュームなどにより異なるため一概には申し上げられませんが、データを溜めるために学習期間がおおよそ2~3週間ほどかかります。

そのため、配信期間の短い案件の場合、あまり自動入札機能の効果を発揮できないまま終了してしまう可能性もあります。

セールなどにより一時的に需要が伸びた場合に注意

自動入札機能は、過去のデータを元に最適化をしてくれる機能です。

しかし、セールの時やテレビで紹介された時など、一時的な要因で需要が伸びた場合でも、入札単価は以前のデータを元に調整されるため、広告が見られず機会損失になってしまう可能性もあります。

そのような場合には、「季節性の調整」という機能を使って見込みコンバージョン率を設定したり、予算を変更したりといった調整が必要になります。

「季節性の調整」に関しては、下記URLのGoogle公式サイトで紹介されていますので、気になる方はご覧ください。

Google広告の自動入札機能の種類

現在Google広告には、「入札戦略」と呼ばれる下記の6つの自動入札機能の種類があります。

  1. 目標コンバージョン単価
  2. 目標広告費用対効果
  3. クリック数の最大化
  4. コンバージョン数の最大化
  5. 目標インプレッション シェア(リスティングのみ設定可能)
  6. コンバージョン値の最大化

それぞれ解説していきます。

目標コンバージョン単価

目標のコンバージョン(獲得)単価の中でコンバージョンを最大限に獲得することを目的とした入札戦略です。

例えば、1件あたりの目標のコンバージョン単価を「1万円」で設定すると、Google広告が1万円のコンバージョン単価で獲得できるように入札調整してくれます。

※ただし、必ず目標コンバージョン単価に合うとは限らず、前後する場合もあります。

目標のコンバージョン単価が決まっている案件の場合にお勧めです。

設定した目標のコンバージョン単価が低いほど全体的に入札価格が低くなり、その結果広告の閲覧回数が減少し、コンバージョン数が減る傾向にあります。

逆に、コンバージョン単価を上げるとコンバージョン数も増加する傾向にあります。

目標広告費用対効果

指定した目標の広告費用対効果(ROAS)でコンバージョンを最大限に獲得することを目的とした入札戦略です。

これはどういうことかと言いますと、分かりやすい例がGoogle公式サイトに記載されていましたので、ご紹介いたします。

女性用の靴を販売するオンラインストアで売り上げを測定しており、ショッピング カートの合計額を基準に入札単価を最適化するとします。目標は広告にかける費用 100 円につき、売り上げ(コンバージョン値)500 円を獲得することです。この場合、広告に 100 円かけるごとにその 5 倍の収益を得られるように、目標広告費用対効果を 500% に設定します。

算出式:
売り上げ 500 円 / 広告費用 100 円×100% = 目標広告費用対効果 500%

Google 広告では次に、目標広告費用対効果 500% の達成を目指しながら、コンバージョン値を最大化できるよう、上限クリック単価が自動的に設定されます。

引用:Google広告ヘルプ

上記のように、目標の広告費用対効果が決まっている場合にお勧めの入札戦略です。

クリック数の最大化

予算内でクリック数を最大化するための入札戦略です。

サイトへのアクセスを増やしたり、商品やサービスの認知拡大をしたりしたい場合にお勧めの入札戦略です。

また、「1クリック○円まで」と入札単価の上限を設定することもできますので、予算が少なくても安心です。

コンバージョン数の最大化

設定した予算内でコンバージョン数を最大化するための入札戦略です。

設定している予算が高いほど、クリック単価が高くなる傾向にありますが、その分コンバージョン数のアップが期待できます。

目標インプレッションシェア(※リスティング広告のみ設定可能)

目標インプレッションシェアは、Googleの検索ページの最上部または上部に広告を表示させることを目的とした入札戦略です。

例えば、「ページ最上部のページインプレッションシェアを50%にしたい」といった形で目標の設定ができます。

認知度アップを目指している場合や、競合より上位に広告を表示させたい場合などにお勧めの入札戦略です。

コンバージョン値の最大化(※リスティング広告のみ設定可能)

指定した予算内で、コンバージョン値を最大化させることを目的とした入札戦略です。

例えばECサイトで美容グッズを複数販売しているとして、同じ1コンバージョンでも「10万円の美顔器」が売れた場合と「2000円の化粧水」が売れた場合で比べると、10万円の美顔器が売れた場合の方が1コンバージョンの価値は高いですよね。

そこで、各コンバージョンに値(価格など)を割り当てれば、単純にコンバージョンが発生した件数だけではなく、コンバージョン毎の価値の違いを把握できます。

「コンバージョン値の最大化」の入札戦略を利用することで、価値の高いコンバージョンを重点的に広告配信し、コンバージョン値の最大化を目指すことができます。

価格や利益率が異なる複数の商材やサービスを持つ場合や、なかなか売上や利益が出ない場合などにお勧めの入札戦略です。

Google広告の自動入札機能の設定方法

自動入札機能の設定方法をご紹介します。

自動入札機能は、キャンペーン単位で設定することができます。

自動入札を設定したいキャンペーンを選択
画面左側の「設定」をクリック
「入札単価」を選択
入札戦略を選択

入札戦略の選択方法は2つあります。

入札戦略の選択方法1

「重視している要素は何ですか?」という選択肢から、『コンバージョン』、『コンバージョン値』、『クリック数』、『インプレッションシェア』のどれかを選択できます。

どれを選択したらいいか分からないという方もいらっしゃるかもしれませんが、アカウントの状況に合わせてGoogle広告が重視する要素を推奨してくれます。

上の画像の場合「コンバージョン」と「コンバージョン値」を選択することが推奨されています。

※推奨されていない「クリック数」などを選択すると、「お客様のキャンペーンにはコンバージョンがおすすめです」と表示されます。

このようにして、重視している要素を選択するだけで、先程ご紹介した入札戦略の中から最も適切なものをGoogle広告が自動で選択してくれます。

Google広告がアカウントの状況に合わせて入札戦略を推奨してくれるので、どの入札戦略を選べばいいか分からない方はこの設定方法がお勧めです。

入札戦略の選択方法2(Google非推奨)

「または、入札戦略を直接選択します(非推奨)」を押します。

すると、いくつかある入札戦略の中から自分で好きな戦略を選ぶことができます。

また、「個別クリック単価制」を選択すると、自動入札機能が外れて手動で入札調整ができるようになります。

先程の方法1とは異なり、Google広告が推奨の入札戦略を自動で選択してくれるわけではありません。

そのため、それぞれの入札戦略の違いが分からないという方や、どの戦略を選ぶべきか分からないという方にとっては、選択するのが少し難しく感じられるかもしれません。

しかし、方法1の「重視している要素」ではなく直接入札戦略名で選択したい方や、手動で入札調整をしたいという方は、こちらの方法2を利用しましょう。

入札戦略の選択が終わったら、右下の「保存」を押します。

Google広告の自動入札機能を上手に使いこなすためのコツ

ここまで自動入札機能についてご紹介してきましたが、実際に自動入札機能を上手く使うこなすためのコツをご紹介します。

広告の効果が悪い場合は様々な入札戦略を試してみる

入札戦略や目標コンバージョン単価などの設定を変更することで、広告の効果が急激に良くなることがあります。

また、以前は効果が悪かった入札戦略でも、時間が経ってもう一度以前の入札戦略を試してみると良い結果が出ることもあります。

需要の変化や競合の増加等の外部要因は常に変わりますので、適切な入札戦略も変動することがあります。

「なんだか最近獲得件数が減ったな…」という場合などは、違う入札戦略や設定を試してみるのも良いかもしれません。

頻繁に入札戦略を変更しない

先程、入札戦略や設定の変更をお勧めしましたが、あまり頻繁に変更することはお勧めしません。

記事内でも申し上げましたが、自動入札機能は約2~3週間ほどの学習期間が必要です。

データが溜まれば徐々に安定して結果を出せるようになることが多いですが、データが溜まるまではCPA(獲得単価)が悪化してしまい、「入札戦略が合っていないのかな?」と不安になってしまうこともあるかもしれません。

また、目標コンバージョン単価などの設定を変更したくなることもあるかもしれません。

しかし、そのような時に頻繁に入札戦略や設定を変更してしまうと、そのキャンペーンは再び学習期間に入ってしまい、いつまで経っても安定しません。

自動入札機能の学習期間中は、キャンペーンのステータスが「学習中」になっています。

学習が完了したら「有効」というステータスに変更になりますので、少なくともステータスが「有効」になるまでは設定を変更しないことをお勧めします。

また、これは筆者の考えですが、ステータスが「有効」になっていても、その後データが溜まれば溜まるほどさらに自動入札機能の精度は上がっていくと思います。

そのため、もし目標通りの結果を出せているようでしたら、できる限り頻繁に変更しないことをお勧めします。

しかし、きちんと学習期間を設けてもどうしても効果が悪い場合や、以前よりも悪化してきた場合などには、①で申し上げました通り別の入札戦略や設定に変更してみても良いかもしれません。

「下書きとテスト」のABテスト機能を活用

「入札戦略や設定を変更したいけど、学習期間に入って逆に悪化してしまうのが怖い」という方もいらっしゃるかもいるかもしれません。

そのような方には、「下書きとテスト」というABテストの機能がお勧めです。

下書きとテストは、管理画面左部分から設定できます。

例えば、現状「コンバージョン数の最大化」の入札戦略を選択しているリスティング広告のキャンペーンがあるとして、「目標コンバージョン単価」の入札戦略の変更を検討しているとします。

「下書きとテスト」の機能を使うことで、予算やキーワード・広告文などの条件は同じまま、入札戦略だけ異なる2つのキャンペーンでABテストをすることができます。

キャンペーン1(元々のキャンペーン)

入札戦略:コンバージョン数の最大化

予算:10,000円

キーワード:A,B,C,D,E

広告文:●●の50%OFFキャンペーン中!

キャンペーン2(テストのキャンペーン)

入札戦略:目標コンバージョン単価

予算:10,000円

キーワード:A,B,C,D,E

広告文:●●の50%OFFキャンペーン中!

下書きとテスト機能には次のようなメリットがあります。

元のキャンペーンとテストキャンペーンのいずれかがランダムにオークションにかけられる

下書きとテスト機能を利用せず、ただ単にキャンペーンを複製して比較した場合、各キャンペーンのキーワードや広告が同じであるため、どちらのキャンペーンの広告も同時に表示されてしまう可能性があります。

しかし、下書きとテスト機能を利用した場合、どちらかのキャンペーンがランダムで表示されるため、2つ同時に広告が表示される心配がありません。

ABテストのデータに有意性があるかどうかが管理画面で分かる

テストのキャンペーンは、しばらくは学習期間に入るため結果が良くなく、ABテストの比較対象になりません。

しばらく配信してデータが溜まり、十分に比較できる状態になると、管理画面でお知らせしてくれる機能があります。

下書きとテストに関して、詳しくはGoogle広告の公式サイトをご覧ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、Googleの自動入札機能に関する基礎知識をまとめました。

記事内でも申し上げましたが、Googleの自動入札機能の精度は日々向上しており、利用することで広告の効果が良くなった実例も多くあります。

また、広告運用の業務を効率化したい方にもとてもお勧めの機能です。

商品やサービスに合わせて適切な自動入札機能を使いこなしましょう。

この記事が、あなたの広告運用の一助となれば幸いです。

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