通常、サイトの引越しをするためには、データベースの設定をしたり、ファイル転送ソフトを使ってファイルを移動したりしなければなりませんが、All-in-One WP Migrationを利用すれば、WordPressの管理画面から簡単にサイトの引越しができます。
この記事はAll-in-One WP Migrationの使い方と設定方法について解説しています。
All-in-One WP Migration は「WordPressサイトを引越ししたいけど、データベースやサーバーの知識がなくてどうすればよいか分からない…」という方におすすめのプラグインです。
この記事では、”All-in-One WP Migrationでつまづきやすいポイント”もしっかり解説しているので、WordPressの引越しが初めての方でも安心してください!
引越し先のサーバーやドメインをこれから探すという方のために、下記の記事で”おすすめのサーバー・ドメイン管理会社”を紹介しています。
All-in-One WP Migrationの概要
WordPressサイトを管理画面から簡単に引越しできるプラグインです。
All-in-One WP Migrationを使えば、以下のような場合に初心者でも簡単にサイトの引越しできます。
- 現在利用しているサーバーから、別のサーバーに切り替えたい
- WordPressを運用しているドメイン(URL)を変更したい
- 開発環境から公開用のサーバーにデータを移したい
All-in-One WP Migrationの特徴
- データベースの知識がなくてもOK
- ファイル転送ソフトを使わなくてもOK
- WordPress管理画面から簡単にサイトを丸ごと引越しできる
All-in-One WP Migrationは無料版と有料版があり、無料版の場合は1回のアップロードの上限が512MBとなっています。
引越し元のデータ容量が512MBを超える場合、画像などサイズが大きなファイルは転送ソフトで移行しなければなりませんが、この記事では、ファイル転送ソフトの設定と使い方も解説しているので安心してください。
All-in-One WP Migrationの公式ページ
All-in-One WP Migrationの公式サイトはこちらです。
All-in-One WP Migrationのファイルをダウンロードして利用したい場合や、公式の情報もチェックしたいという方は上記のリンクからご覧ください。
プラグインをダウンロードして利用する方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
WordPressの引越し手順
詳しい解説の前に、All-in-One WP Migrationを利用して引越しする際の手順を確認しておきましょう。
ちょっと複雑に感じるかもしれませんが、この後しっかりと解説するので安心してください!
All-in-One WP Migrationのインストール手順
それでは引越し元のWordPressにAll-in-One WP Migrationをインストールしましょう。
プラグインのインストールや設定の更新前には念のためバックアップをとるようにしましょう!
→BackWPup を利用して自動的にバックアップを取る方法
WordPress管理画面を開いたら「プラグイン」→「新規追加」の順にクリックしてください。
キーワード入力フォームに「All-in-One WP Migration」と入力し、「今すぐインストール」→「有効化」の順にクリックしてください。
これでAll-in-One WP Migrationのインストールは完了です。
引越し元のWordPressからデータをダウンロードする方法
All-in-One WP Migrationをインストールしたら、引越し元のWordPressのデータをエクスポート(あなたのPCにダウンロード)しましょう。
WordPress管理画面に追加された「All-in-One WP Migration」をクリックしてください。
「エクスポート先」の中から「ファイル」をクリックしてください。
FTPサーバーやDROPBOXにエクスポートすることもできますが有料プランになります。
エクスポートの準備が完了すると「○○(ドメイン名)をダウンロード」というボタンの下にデータ容量が表示されます。
データ容量が512MB未満の場合は「ダウンロードボタン」をクリックして、PCにダウンロードしてください。
512MBを超える場合は$69の有料版を購入しなければならないのですが、データ容量を減らす方法を以下で解説しますので試してみてください!
ダウンロードサイズを512MB未満に減らす方法
「高度なオプション」をクリックしてください。
「スパムコメントをエクスポートしない」「投稿リビジョンをエクスポートしない」をチェックして「ファイル」をクリックしてください。
WordPressは、投稿を更新した時に、更新前の内容を自動的にバックアップするのですが、そのバックアップをリビジョンといいます。更新する度にリビジョンが増えるので、記事数が多いサイトや頻繁に更新をしているサイトでは容量削減の効果が高いです。
リビジョンは投稿画面から確認できます。
リビジョンを残しておきたいという場合は 「投稿リビジョンをエクスポートしない」 にチェックしないでください。
スパムコメント、投稿リビジョンを除外して512MB未満に収ればOKです。
しかし、それでも512MBを超える場合はメディア(画像などのファイル)を別のツールでダウンロードすることにしましょう。
「メディアライブラリをエクスポートしない」をチェックして「ファイル」をクリックしてください。
メディアライブラリを除外して512MB未満に収まればOKです。
メディアライブラリを引越し先に移す方法は、All-in-One WP Migrationでダウンロードしたデータを引越し先に移した後で解説しますね。
引越し先のWordPressにデータをアップロードする方法
ここからは引越し先のサーバーで進めていきます。
エックスサーバーを利用する場合は、下記の記事でエックスサーバーのログイン方法、WordPressのインストール方法を解説しているので参考にしてください。
WordPressのインストールが完了したら、All-in-One WP Migrationもインストールしましょう。
All-in-One WP Migrationのインストール手順はすでに紹介しているので省きます。
PHPバージョンの確認と変更手順
引越し元のデータをアップロードする前に大事な点をお伝えします。
それはPHPバージョンの確認です。
WordPressに利用されているプログラミング言語です。
新着記事一覧を表示したり、アクセスした記事を表示できるのは、PHPで書かれたプログラムを利用しているからです。
引越し元と引越し先のPHPバージョンが違うと正常にインポートできない場合があります。
引越し元がPHPバージョン5の場合、PHPバージョン7へ移行できないことが確認されています。
また、PHP言語のバージョンと使用しているプラグインの相性が悪いと、サイトの表示が崩れたり不具合が起こる場合もあります。
引越し元のPHPバージョンを確認し、引越し先のPHPバージョンを合わせておくことで、上記のような不具合を防ぐことができます。
以下では、エックスーバーからPHPバージョンを確認・変更する方法を紹介します。
エックスサーバーのサーバーパネルにログインし、「PHP Ver.切替」をクリックしてください。
引越し元のドメイン横の「選択する」をクリックしてください。
「現在のバージョン」の下に記載されているPHPのバージョンを確認しましょう。
引越し先のPHPバージョンも確認し、「変更後のバージョン」から引越し元のPHPバージョンに変更してください。
All-in-One WP Migrationでデータをアップロードする方法
PHPの設定が完了したらAll-in-One WP Migrationで引越し元のデータをアップロードしましょう。
引越し先のWordPress管理画面で「All-in-One WP Migration」→「インポート」の順にクリックしてください。
「最大アップロードファイルサイズ」を確認してください。
最大アップロードサイズが、引越し元からダウンロードしたデータ容量より小さい場合、データをアップロードすることができません。
この場合、アップロードサイズの上限を上げなければなりません。
以下の2つの方法を紹介しますので、やりやすい方で進めてください。
- 公式プラグインを利用してアップロードサイズを上げる方法
- エックスサーバーの管理画面からアップロードサイズを上げる方法
All-in-One WP Migration Importを利用してアップロードサイズを上げる方法
「無制限版の購入」をクリックしてください。
Basicプランの「Download」をクリックしてプラグインをダウンロードしましょう。
プラグインの管理画面から「新規追加」→「プラグインのアップロード」の順番にクリックしてください。
「ファイルを選択」から今ダウンロードした”All-in-One WP Migration Importファイル”をアップロードし、「今すぐインストール」をクリックしてください。
画面が切り替わったら「プラグインを有効化」をクリックしてください。
これで最大アップロードサイズが512MBに増えました!
エックスサーバーの管理画面からアップロードサイズを上げる方法
エックスサーバーの管理画面から「php.ini設定」をクリックしてください。
引越し先のドメインで「選択する」をクリックします。
ページが切り替わったら「その他の設定」まで下にスクロールしてください。設定変更するのは以下の5か所です。
各設定の意味は以下の通りです。
max_execution_time | 何かのトラブルでアップロード処理が無限に続くのを防ぐため、強制終了されるまでの時間を秒単位で指定できます。 |
max_input_time | アップロードするデータを解析する最大の時間を秒単位で指定できます。 |
memory_limit | プログラムで使用する最大メモリ数を指定できます。 |
post_max_size | 1回にアップロードできる最大容量を設定できます。 |
upload_max_filesize | 1つのファイルの最大アップロードサイズを設定できます。 |
「その他の設定」の5か所の数値を入力したら「確認画面へ進む」→「変更する」の順にクリックしてください。
その他の設定で変更した数値は以下の通りです。
max_execution_time | 300 |
max_input_time | 300 |
memory_limit | 256M |
post_max_size | 512M |
upload_max_filesize | 512M |
サーバーからの設定でも、無料版の上限512MBを超えた容量のインポートはできません。
これで容量の大きなファイルでもアップロードできるようになりました!
引越し元データのインポート方法
インポート方法は、先ほどダウンロードしたファイルをドラッグ&ドロップするだけです。
続いて「開始」をクリックしてください。
インポートが完了したら「パーマリンク構造を保存する」というリンクが表示されるのでクリックしてください。
引越し元のユーザー名とパスワードを入力してください。
All-in-One WP Migrationでインポートが完了すると、WordPressのユーザーアカウントは引越し元に変更されるため、改めてログインが必要になります。
パーマリンク設定から「変更を保存」をクリックしてください。
これでAll-in-One WP Migrationを使用したデータのアップロードは完了です!
引越し元でメディアファイルを除外している方は、この後の「FileZilla(FTP)を利用してメディアファイル移行する方法」をご覧ください。
FileZilla(FTP)を利用してメディアファイルを移行する方法
引越し元のデータをダウンロードする際にメディアを除外している場合は、以下の手順に沿って進めましょう!
まずは、FTPソフトを使用して、引越し元のWordPressから、メディアファイルを手元のPCにダウンロードします。
ネットワークを通じてファイルを転送する仕組みのことです。FTPソフトを使うことで、手元のPCとサーバー間のファイル転送を簡単に行うことができるようになります。
FileZillaのダウンロード方法
FileZillaはwindows、macの両方に対応し、初心者でも扱いやすいFTPソフトです。
この記事では「FileZilla」を使って、メディアファイルを転送する方法を紹介します。
まずFileZillaをPCにインストールしましょう。
FileZillaのWEBページを開いたら「Download FileZilla Client」をクリックしてください。
続いて「Show additional download options」をクリックしてください。
Windowsは「.exe」、Macは「.bz2」ファイルをクリックしてPCにダウンロードしてください。
Windowsの場合は64bitと32bitでダウンロードするファイルが異なります。確認方法は以下の通りです。
左下のWindowsマークをクリックし、「コントロールパネル」と入力し、アイコンをクリックしてください。
「システムとセキュリティ」をクリックしてください。
「RAMの量とプロセッサの速度を表示」をクリックしてください。
「システムの種類」にビット数が記載されています。
FileZillaのインストールとサーバーへ接続する方法
この記事ではWindowsを使用したインストール方法を紹介します。
ダウンロードしたFileZillaのファイルをダブルクリックしてください。以下、インストール前の設定について解説します。
ライセンスについて記載されています。問題なければ「I Agree」をクリックしてください。
PCに登録しているすべてのユーザーで使用できるようにする場合は「Anyone who uses this computer」、現在のアカウントのみ使用する場合は「Only for me」をチェックして「Next」をクリックしてください。
追加要素のインストールについて選択できますが、最初からチェックされている「Icon sets」「Language files」「Shell Extension」は必ずチェックした状態で「Next」をクリックしてください。
Desktop Iconにチェックを入れると、デスクトップにショートカットアイコンを作成してくれます。必要な場合はチェックをいれてください。
FileZillaのインストール先を選択できます。問題なければこのまま「Next」で大丈夫です。
スタートメニューにアイコンを設置できます。不要であれば「Do not create shortcuts」にチェックをいれて「Install」をクリックしてください。
「Finish」をクリックしてインストールは完了です!
次は、FileZillaを使用して、あなたのPCとWordPressがあるサーバーをつなぐ設定をしていきましょう。
FileZillaを起動し、左上のメニューから「ファイル」→「サイトマネージャー」の順にクリックしてください。
「新しいサイト」をクリックしてください。
プロトコル・ホスト・暗号化・ログオンタイプ・ユーザー・パスワードを設定し「接続」をクリックしてください。
以下はエックスサーバーを使用した場合の設定方法です。
プロトコル | 「FTP – ファイル転送プロトコル」を選択してください。 |
ホスト | FTPサーバー名(sv●●●.xserver.jp)を入力してください。 |
暗号化 | 「明示的な FTP over TLS が必要」を選択してください。 |
ログオンの種類 | 「通常」を選択してください。 |
ユーザー | 「FTPソフト設定」に記載されているユーザー名を入力してください。 |
パスワード | サーバーパネルのログインパスワードを入力してください。 |
ホスト名やユーザー名がわからない場合は契約時に送られてきたメールを確認してみてください。
サーバーと接続ができたら、メディアファイルを移行します。
FileZillaでメディアファイルをPCにダウンロードする方法
左側は「Desktop」、右側は「ドメイン名→public_html→wp-content→uploads」の順にクリックしてください。
左側(ローカルサイト)はあなたのPC側を表示し、右側(リモートサイト)はサーバー側を表示しています。
上記ではわかりやすいように”PC側をデスクトップ”にしていますが、ダウンロードする場所はどこでも大丈夫です。
サーバー側のuploadsフォルダ内のデータを、PC側にドラッグ&ドロップしてください。
サーバー内のメディアファイルがPCにダウンロードされました。
FileZillaでメディアファイルを引越し先にアップロードする方法
前項で、引越し元のサーバーからPCにメディアファイルをダウンロードしました。
今度は、PCから引越し先のサーバーにそのメディアファイルをアップロードします。
「引越し先のドメイン名→public_html→wp-content→uploads」の順にクリックし、PCから引越し先のサーバーにドラッグ&ドロップします。
これでWordPressの引越しはすべて完了です!
まとめ
無事に引越し先でサイトが表示されたでしょうか?
All-in-One WP Migrationを使うことで、WordPressの管理画面から簡単にサイトの引越しができます。
一回では覚えきれない部分もあると思いますので、またわからなくなったら参考にしてください!
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