最近では、コンテンツマーケティングを集客手段として取り入れ、自社で記事を制作する企業も珍しくなくなりました。
しかし、「記事制作って、どうやって進めればいいの?」「企業が実際に行なっている記事制作フローを教えてほしい」そういった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、企業メディアの記事制作フローを解説するとともに、効率よくクオリティを高める方法についてもご紹介します。
今回紹介するのは、一部上場企業からベンチャー企業まで取り入れている記事制作フローです。ぜひ参考にして、自社メディアの運用に活かしてください。
企業メディアの記事制作フロー【5つの手順】
企業メディアの記事制作フローは、以下の5ステップからなることが多いです。
- キーワード選定
- 構成作成
- 記事執筆
- ブランディングチェック
- CMS実装
実際、私がコンテンツマーケティングに携わっている企業も、ほとんどが上記のフローを取り入れています。
これから記事制作を自社で行う予定の企業は、こちらの記事制作フローを参考にしてください。
キーワード選定
コンテンツマーケティングの文脈で記事制作する場合、キーワードが主軸となります。なぜなら、ユーザーは検索エンジンでキーワードを検索することで、記事にたどり着くからです。
キーワード選定の際に、最低限決めておきたいこととしては以下が挙げられます。
- メディア運営の目的
- 制作する記事のテーマ
- 狙いたいキーワード
メディア運営をして集客をした先には、ECサイトへの誘導・メルマガへの登録といった目的があるはずです。
そのターゲットとなるユーザーに刺さる記事のテーマは何なのか、どういったキーワードで検索するのかを決めておく必要があります。
構成作成
キーワードを選定したら、記事の骨組みとなる「構成」を作成します。この段階では、最低限、下記の項目を決めておくとよいでしょう。
- ペルソナ
- 記事タイトル
- 見出し
ペルソナとは、記事のターゲットとなるユーザーを1人の人物として仮定したものです。このペルソナを決めておくことで、記事の軸がぶれにくくなります。
また、記事タイトル・見出しを決めておくと、記事のテーマと流れを定められます。実際に書いてみたら全く違う記事になってしまった、ということがないように予め決めておきましょう。
記事執筆
キーワードを決め、構成案を作成すると、ようやく記事執筆に入ります。記事を執筆する際には、基本として下記を意識するとよいでしょう。
- ユーザーが知りたいことを書く
- 正しい情報であることを確かめる
- 記事の目的への誘導を意識する
ユーザーは何か知りたいことがあって検索をしているため、それに答えられる記事でなければいけません。また、その情報の正確性も重要です。
しかし、それだけではユーザーが記事を読んだだけで終わってしまいます。ユーザーに情報を提供しつつも、自社のサービス・商品に誘導できるような流れを意識しましょう。
ブランディングチェック
メディアとしての雰囲気や、事業内容と相反していないかを確認することは、俗に「ブランディングチェック」と呼ばれます。
記事としての質が高くても、メディアや企業のブランドを落とすことは避けたいです。ブランディングの例としては、以下が挙げられます。
- 育毛・増毛のサービスを展開しているが、「絶対に髪が増える」などの明言は避ける
- コンタクトレンズを販売しているが、確かではない成分の効果などは記載しない
- 国際協力団体なので、特定の個人・人種を貶めるような表現・言葉は使用しない
メディアは集客媒体であると同時に、企業のイメージをつくるものでもあります。安易な表現を使用していないかチェックすることが重要です。
CMS実装
記事が完成したら、CMSに実装して公開作業へと進めます。CMSとは、Contents Management System(コンテンツ管理システム)の略です。
多くの企業では、メディア運営にCMSを導入しています。オープンソースのCMSであるWordPressが主流ですが、自社に最適化した独自CMSを利用している起業も多いです。
CMSでは、以下のような作業を行います。
- 文字や文章の装飾
- 画像や表などの挿入
- 公開設定(公開予約)
上記の工程を踏むことで、記事が Web上に反映されます。検索結果への反映までは時間がかかることもあるので、焦らずに様子を見ましょう。
記事制作の内製化に必要な知識と人材
記事制作を内製化している企業も多く、知識と人材が集められれば自社で記事制作を行うことは可能です。必要な知識と人材は以下になります。
- SEO
- HTML・CSS
- Webライター
- 校正校閲担当者
- チェック担当者
記事制作の内製化は、簡単とは言い難いです。ただ、メリットはかなり大きいので、可能であれば内製化を検討してみるのもよいでしょう。
SEO
SEOとは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略です。検索エンジンの仕組みにWebサイトおよびWebページを最適化し、検索結果で上位表示を狙う施策を指します。
ただWebサイトを運営し記事を上げるだけでは、検索結果に上位表示するのは難しいです。記事制作を内製化し、Webサイトの上位表示を狙うのであれば、SEOに精通している人材は必須です。
HTML・CSS
HTML・CSSとは、Webページの装飾を行うために必要なマークアップ言語です。英語や数字、記号をルールに従って記述することで、文字に色を付けたり、囲み枠を表示したりすることができます。
企業でCMSを導入している場合は、HTML・CSSの知識がなくても、記事をアップロードすることは可能です。ただ、知識がないと対処できない場面もあるので、多少の知識は入れておきたいです。
Webライター
Webライターとは、Web上の記事を執筆する職業です。記事制作をする場合は、Webライターを採用しておく必要があります。
ただし、多くの企業では、元々在籍しているスタッフを教育して執筆業務を担当させるケースも多いです。企業や業界の内情に精通したスタッフを登用することで、質の高い記事を執筆できるというメリットがあります。
校正校閲担当者
校正校閲とは、記事のチェックを行う職種です。表記や表現の正誤のほか、記事内容が事実と相違ないかをチェックする役割を担っています。
Webライター同様、校正校閲も元々いるスタッフが担当するケースも見られます。記事内容について精通しているため、内容の担保がしやすい点はメリットといえるでしょう。
ただし、表記や表現のチェックは、校正校閲経験者でないと難しいケースもあります。
ブランディングチェック担当者
記事としての質をチェックする校正校閲以外に、主にブランディングをチェックする担当者がいると安心です。多くの企業では、広報部の担当者が兼ねているケースが見られます。
事業やメディアにとってネガティブな発信になっていないかどうかを最終チェックする役割です。ブランディングチェックを省いてしまうと、記事が公開された後に、ユーザーからクレームが入るケースがあります。
企業規模が大きくなればなるほど影響力も大きくなります。規模の大きな企業では、ブランディングチェック担当を置くことは必須でしょう。
記事の書き方と例【テンプレートあり】
記事の書き方には、明確なテンプレートがあるわけではありません。なぜなら、キーワードによってユーザーのニーズが異なり、そのニーズに合わせて記事を作る必要があるからです。
ただし、本文・導入文の書き方や構成案の作り方には、ある程度のテンプレートと呼べるものがあります。詳しくは以下の記事で紹介していますので、こちらを参考にしてください。
記事制作フローの効率と質を高める方法
記事制作フローに従えば、記事を完成させることはできます。しかし、実際に運用してみると、定めたフローどおりにいかなかったり、制作が止まってしまったりすることが、しばしば起こります。
記事制作フローを効率よく回しつつ、記事の質を高める方法としては、以下が挙げられます。
- レギュレーションを作る
- 監修者を入れる
- 採用にコストをかける
- 記事制作を外注する
- 窓口を一本化する
どれか1つというよりも、複合的に組み合わせて取り入れるのが一般的です。まずはできるところから始めてみましょう。
レギュレーションを作る
レギュレーションとは、記事制作を行ううえでのルールや注意事項をテキストにしてまとめたものです。言語化することでチームで共通認識が持てるため、スムーズに制作を進められます。
また、よくある質問や確認事項を記載しておくことで、連絡にかかるコストを省けます。新しいメンバーが参加した際にもレギュレーションを共有すれば、最初から、ある程度は動けるでしょう。
監修者を入れる
記事テーマに精通した専門家を監修者として入れることで、記事質を担保できます。企業の担当者とはいえ、医療や法律の専門的な内容となれば、事実確認をするのは容易ではありません。
また、監修者を記事に文責者として記載することで、信頼性や権威性を担保できます。Googleのアルゴリズムでも「誰が書いたか」を重視する傾向にあり、上位表示の観点でも有効です。
採用にコストをかける
Webライターや校正校閲もピンキリで、コストを抑えようと思えば、いくらでも抑えられます。しかし、質の高い記事を効率よく作ろうとするのであれば、それなりの人材採用コストは必要です。
また、元々在籍しているスタッフを教育するのにも時間と手間がかかります。文章を書き慣れている人でないと、教育しても求めるクオリティを出せないことも多いです。
記事制作を外注する
記事制作には人手も時間も、手間もかかります。記事制作に社内リソースを割けない場合、外注するのも1つの選択肢です。
- フリーランスのWebライターを採用する
- 記事制作とディレクションを外注する
- コンテンツマーケティング自体を外注する
まったくリソースが割けない、もしくは、ノウハウがないという場合は、コンテンツマーケティング自体を外注するのが得策でしょう。
マーケティング会社であれば、記事を上位表示させるノウハウなども蓄積しています。その場合、企業はブランディングチェックだけ入るのが一般的です。
窓口を一本化する
記事制作を外注する際には、窓口を一本化しましょう。よくあるのは、さまざまな部署が関与していて、どこがボールを持っているのかわからないケースです。
チェックがいつまでも終わらず、一向に記事がアップされないという状況に陥ります。たとえば、下記のような体制が理想です。
外注先
↑↓
広報部
↓
商品開発部
↓
法務部
↓
〇〇部
↓
〇〇部
広報部が窓口となり、外注先とやり取りをします。基本的には、広報部でブランディングチェックを行い、その先の編集は各部署が行う形です。
責任の所在をはっきりさせて、作業フローに段階を持たせることが重要となります。
記事制作フローを固めてメディア運営を!
この記事では、一部上場企業からベンチャー企業まで、コンテンツマーケティングに携わる私が、記事制作フローについて紹介しました。
一般的な企業メディアの記事制作フローは、以下のとおりです。
- キーワード選定
- 構成作成
- 記事執筆
- ブランディングチェック
- CMS実装
もちろん一例ではありますが、私が担当する何社かでは、実際に上記のフローで記事制作を回しています。ぜひ参考にして、自社メディアの記事制作に取り入れてみてください。