Webマーケティングの領域では、従来のテクニック重視の戦略が廃れ、本当に役に立つコンテンツでユーザーを集める「コンテンツマーケティング」が主流になりました。
そういった流れから、コンテンツディレクターの需要が高まると考えられます。コンテンツディレクターとは、どういった役割なのでしょうか?
この記事では、コンテンツディレクターの仕事内容やスキル、実務で気をつけるべきことを紹介します。現役コンテンツディレクターの私の実体験を交えてお話ししますので、参考にしてください。
コンテンツディレクターとは?
コンテンツディレクターは、コンテンツ制作全体を執り仕切る仕事です。Webメディアに限った場合には、デジタルコンテンツディレクターと呼ばれることもあります。
- コンテンツの品質を管理する
- クライアントの意向を汲み取る
- プロジェクトの進捗管理をする
コンテンツディレクターの役割は幅広く、コンテンツに関わる業務全体を統括しなければなりません。コンテンツ自体への理解の他、コミュニケーションも仕事の大きな部分を占めます。
コンテンツディレクターの仕事
コンテンツディレクターの仕事は多岐に渡りますが、大きく捉えると以下の2つに分けられます。
- コンテンツの品質管理
- プロジェクトの進捗管理
コンテンツには基本的に納期があるため、品質を保ちながらも、スムーズな進行を心がけなければいけません。
コンテンツ企画
コンテンツのテーマや方向性を決めるのも、コンテンツディレクターの仕事です。具体的には、以下のようなポイントを定めます。
- メインとなるキーワード
- コンテンツの大まかな内容
- ユーザーの流れと誘導先
コンテンツディレクターが、これらの項目を明確に示すことで、後々の制作がスムーズに進みます。大まかな筋道を立てるのが、この段階でのポイントといえるでしょう。
企画のすり合わせ
コンテンツ企画案をクライアントとすり合わせます。クライアントの要望を基に企画案を作りますが、細かな意図やブランディングの観点で詰める必要があるのです。
- クライアントの事業内容
- 売上への直接的な貢献度合い
- 企業のブランドイメージ
上記のポイントを踏まえて、内容のすり合わせを行います。時には、キーワードやテーマ自体から練り直して再提案することも必要です。
プロジェクトの進捗管理
コンテンツ企画案が定まったら、具体的な現場の作業に落とし込みます。テーマや専門性にマッチしたライター・校正校閲担当者をアサインし、以下の業務を統括します。
- 構成作成(ライター)
- 記事執筆(ライター)
- 校正校閲(校正校閲)
コンテンツディレクターは、実際に手を動かすことはほとんどありません。しかし、それぞれの業務内容を把握し、適切に行われているかをチェックする必要があります。
また、それぞれの工程に遅れが出た場合に、各担当者にプッシュすることもコンテンツディレクターの仕事です。コンテンツの品質を保ちながら、プロジェクトをスムーズに進行することが求められます。
コンテンツの品質管理
コンテンツの品質管理は、コンテンツディレクターのメインとなる業務です。品質と一言でいっても、Webコンテンツには大きく分けて2種類の品質があります。
- 内容的な品質
- SEO的な品質
内容的な品質とは、情報の正確性・読みやすさなど、一般的にイメージされるコンテンツの品質を指します。
一方で、Webコンテンツはマーケティングの一環として制作されるため、その観点からも品質を担保しなければいけません。SEOについては、以下の記事で解説していますので、詳しくはこちらを参考にしてください。
施策の効果測定
コンテンツは公開したら終わりではなく、その後の効果測定が重要になります。なぜなら、コンテンツディレクターの施策はあくまで仮説であり、実際に効果があるのかは実行してみなければ分からないからです。
- 検索順位
- アクセス数
- コンバージョン
上記の項目を中心に、制作したコンテンツで成果が出ているのかを確認します。効果が見られない場合、テーマやキーワードの変更、あるいはリライトなどの施策を打つことも選択肢として考えられるでしょう。
コンテンツディレクターのスキル
コンテンツディレクターとして十分に仕事をこなすには、コンテンツ制作に関する知識やプロジェクトを円滑に進めるためのスキルが必要です。コンテンツディレクターを目指している人は、以下のスキルを身に付ける努力をしましょう。
マーケティングスキル
コンテンツディレクターには、マーケティングスキルが求められます。なぜなら、コンテンツ制作はWebマーケティング施策の一環だからです。
具体的には、SEO(検索エンジン最適化)に関する知識や経験が必要となります。ブログ運営やWebライティングを経験しておくと、SEOスキルを自分の血肉にできるでしょう。
論理的思考力
効果のある施策を打つためには、論理的思考力が必要です。SEOはデータベースのマーケティングなので、データを読み取り、理論を組み立てて施策に反映しなければいけません。
また、クライアントに施策の理解を得るにも、論理的に説明する必要があります。どれだけ効果のある施策でも、クライアントに理解を得られなければ実行に移すことはできません。
スケジュール管理能力
コンテンツディレクターは、何人(時には何十人)ものスケジュールを一括で管理しなければいけません。自分自身のスケジュール管理ができない人は難しいでしょう。
また、スケジュールが押したり、巻いたりした場合にリスケジュールをするのもディレクターの仕事です。プロジェクトが円滑に進むよう、期日を柔軟に変更しすることが求められます。
コミュニケーションスキル
マーケティング知識が豊富だったり、論理的思考力が優れていたりしても、プロジェクトを上手く回せないことは往々にしてあります。
そういった場合に欠如しているのが、コミュニケーションスキルです。クライアントへの報告やライターへの指示を明確に伝えられないと、プロジェクトの進行に綻びが出てしまいます。
アンガーマネジメント
コンテンツディレクターは、マーケティングの専門家であると同時に、チームの潤滑油的な存在です。基本的に表に出ることはなく、クライアントとライターの橋渡しをする職種になります。
アンガーマネジメントができずに、ちょっとしたことで怒ってしまう人は向いていません。感情的になりやすい人をコンテンツディレクターに据えると、プロジェクトが崩壊する可能性が高いです。
コンテンツディレクターが気をつけること
私は、上場企業やベンチャー企業を含む複数社で、コンテンツディレクターを務めています。そのなかで、自分自身も失敗をし、また、他のディレクターの失敗もたくさん見てきました。
ここでは、コンテンツディレクターの役割を果たすために、私自身が気をつけていることを紹介します。現場の生の声になりますので、ぜひ参考にしてください。
連絡を滞らせない
連絡を滞らせないことは、コンテンツディレクターの基本中の基本です。連絡がないとクライアントやチームメンバーは不安になります。
プロジェクトに進捗・変更があった場合は、逐一報告を入れましょう。また、回答を求められた場合には、なるべく早く返信するように心がけてください。
相手の回答を想像する
コンテンツディレクターは、指示や質問をすることが仕事といっても良いくらい、コミュニケーションを取らなければならない場面が多くあります。
その際に、相手の回答を想像した上で、指示や質問をするようにしましょう。例えば、納期が遅れていれるライターに対しては、2つ目の質問が適切だといえます。
- いつまでに納品できそうでしょうか?
- 納品可能な期日と時間を教えていただけますでしょうか?
1つ目の質問では、あいまいな回答が来る可能性があり、後工程のスケジュールをFIXできません。2つ目のように具体的な期日・時間を聞くと、リスケジュールしやすくなります。
ボールの所在を明確にする
クライアント・ディレクター・ライターの間で、誰がボールを持っているのか明確にすることが重要です。
「ライターがボールを持っていると認識していたのに、ライターはディレクターに渡したつもりになっていた」ということが起こり得ます。
スケジュール管理シートなどを利用して、スケジュールを目に見える形で共有しておくと良いでしょう。
コンテンツディレクターになるには?
コンテンツディレクターになる方法は、就職・転職だけではありません。フリーランスとして業務委託契約という形でも、企業のメディアに携わることができます。また、その場合は副業でも問題ありません。
ただし、未経験の場合はまずWebライターとしてコンテンツ制作に関わることをおすすめします。Webライターを経験することで、コンテンツ制作の現場感を養うことができるからです。
Webライター出身の場合と、未経験の場合では、コンテンツディレクターとしての質に雲泥の差があります。まずは、Webライティング業務をこなしつつ、コンテンツディレクターを目指すのが良いでしょう。